大阪高等裁判所 平成11年(行コ)88号 判決 2000年10月19日
控訴人
有限会社A
右代表取締役
甲
被控訴人
天王寺税務署長 八木昭
被控訴人
大阪国税局長 森田好則
右両名指名代理人
北村庄太郎
上谷美佐夫
被控訴人天王寺税務署長指定代理人
松田稔
同
石田嘉男
被控訴人大阪国税局長指定代理人
高橋満
同
森井裕明
主文
一 本控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
第一申立
一 原判決を取り消す。
二 被控訴人天王寺税務署長が昭和六二年三月三一日付でなした昭和五八年九月一日から昭和五九年八月三一日まで、昭和五九年九月一日から昭和六〇年八月三一日まで及び昭和六〇年九月一日から昭和六一年八月三一日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分を取り消す。
三 被控訴人大阪国税局長が、原判決別紙租税債権目録記載の租税債権について、昭和六三年十二月二一日付けで原判決別紙物件目録の記載の建物に対してした差押処分を取り消す。
第二主張
一 二に控訴人の当審における主張を付加するほか、原判決「第二 事案の概要」のとおりであるから、これを引用する。
二1 控訴人は、昭和六一年に大阪市阿倍野区松崎町に所在するBマンションにおいて火災事故が発生し、昭和六二年三月ころ、阿倍野の消防署から、控訴人代表者に対して防火管理者を定めるように求められ、Bマンションの隣にある大阪市阿倍野区松崎町に所在するヴィラCに転居した。控訴人代表者が再び大阪市天王寺区北河堀町(設立時及び現在の本店所在地)に住むようになったのは、平成三年六月二二日である。
2 控訴人は、被控訴人からの差押登記通知書が大阪市住吉区万代東一丁目に送達されたので平成元年一月一九日郵便受けの中の差押登記通知書が入っているのを見て、このとき初めて本件課税処分を知った。
理由
一 当裁判所も控訴人の訴えは不適法であると判断する。その理由は、二に付加するほか、原判決「第三 当当裁判所の判断」のとおりであるからこれを引用する。
二 税務署長の法人税更正処分及び過少申告加算税決定処分については、控訴人は異議、審査請求をしていないから、その取消を求める訴えは不適法である。
三 控訴人は、昭和六二年三月ころ、控訴人代表者らが防火管理者として、Bマンションの隣にある大阪市阿倍野区松崎町に所在するヴィラCに転居し、控訴人代表者らが再び大阪市天王寺区北河堀町の現在の本店所在地に住むようになったのは、平成三年六月二二日であると主張する。しかし、右主張事実を認めるに足りる的確な証拠はないし、仮に、これが真実であるとしても、控訴人代表者の住所の移転に過ぎず、前記認定の事実によれば、控訴人の現在の本店所在地が控訴人の事務所でなかったことと直接結びつくことにならないというべきである。
当審における控訴人の主張、立証を考慮しても、裁決書謄本が平成二年八月七日に適法に控訴人に配達されたとの判断は動かない。そうすると、差押処分の取消を求める訴えは、出訴期間後のものであっても不適法である。
四 以上のとおり、控訴人の本件訴えはいずれも不適法であるから却下すべきであり、これと同旨の原判決は正当であるから本件控訴を棄却する。
(裁判長裁判官 井関正裕 裁判官 前坂光雄 裁判官 矢田廣高)